学生ローンの日常業務について前のページでご紹介したが、ここではその他の雑用業務や、細かな業務について書いてみたいと思う。
学生ローンは消費者金融なので、主な業務は貸す事と回収がメインとなる。
それは前のページで説明した通りだ。
しかし、実務上はそれ以外の業務でも主要といえるものがあり、それらの業務なくして日々の業務を支える事は不可能である。
よって、こちらでは、日々の細かな業務について説明したい。

1.日々の銀行振り込みによる返済処理
学生ローンでは、銀行振り込みによる返済が主な返済方法となるが、その入金処理、実は経験がないと非常に難しい業務なのだ。
例えば、「スズキ タクヤ」という名前の人が、会員番号等の識別番号を付与せず、名前だけで入金してきたらどうなるだろうか?
非常にありふれた名前なので、どの「スズキ タクヤ」さんか判断できないだろう。
フルネームが入っていればまだマシな方で、中には苗字のみ、酷い場合は振り込みを友人に頼み、その友人が自分の名前(友人の名前)で振り込みをしてしまうケースもある。
また、学生ローンの会社名を入れてしまうケースもよく見られる。
このような入金分を的確に振り分ける事は非常に困難で、個別に連絡が取れるケースを除いては、独自の過去データに基づいて判断するケースもあるのだ。
こうした判断は、長年にわたって入金業務に従事する者でなければ、絶対に不可能である。
もし、いいかげんな判断で入金処理をして、間違っていたら大変な事になるだけに、非常に重要な職務といえるだろう。

2.日々の与信枠のチェック
実はコレが結構厄介で、手間が掛かる業務なのだが、学生ローンはもとより、貸金業者は総量の規制を遵守する上で、顧客の他社を含めた利用残高状況を把握しておかなければならない。
大手消費者金融では、自動バッチシステムが確立されているが、費用が莫大な為、学生ローンの専門業者では到底導入は不可能だ。
したがって、人海戦術は避けられず、全て手動でチェックしているのが実情だ。
しかも、チェックを必要とする顧客は残高あり顧客とは限らない。
ATMを設置している場合等は、完済者も対象となる為、膨大な手間と信用情報の照会手数料がのしかかってくるのだ。
信用情報の取得は、もちろん手作業である。
取得した信用情報と過去の実績を照らし合わせ、総量規制を満足させる範囲内で的確な与信枠を設定しなければならない。
これもまた、職人技を必要とする所以だ。
特に完済者の与信枠の判断は難しい。
住所や勤務先の変更がある可能性は大で、安易に大きめの枠を設定する事は危険である。
しかし、顧客にもマジメに返済したというプライドがあり、正当な理由なく引き下げるのも難しい場合があるのだ。
要はクレームが入りやすいのである。
「アテにしていた」という強烈な罵声が浴びせれられるのだ。
こうした問題を避ける為にも、やはり長年の経験と知識を有した者が対応に当たらなければならない。
つまり、日々の貸付業務、入金処理業務、債権管理業務において、よりベテラン社員が求められるのだ。
「経験が浅いから」という言い訳は通用しない。
そのような意味からも、貸金業務取扱主任者の育成は、喫緊の課題と言って良いだろう。